高血圧について
高血圧ガイドラインが改定されました!

『高血圧治療ガイドライン2019』が令和元年4月25日に刊行されました。今回は5年ぶりの改訂で大部分の患者さんの目標血圧は130/80mgHgと強化されました。具体的な目標血圧は75歳未満の成人では130/80mmHg未満、75歳以上では140/90mmHg未満、糖尿病患者さん、脳血管障害患者さん、冠動脈(心疾患)疾患さんでは130/80mmHg未満、尿蛋白陰性の慢性腎臓病患者さんでは140/90mmHg未満などです。
また今回の『高血圧治療ガイドライン2019』でも家庭血圧の重要性が強調されています。診察室で血圧は家庭血圧と比べ一般的に高いとされていますが、この二つに差がある場合には家庭血圧による診断を優先するとされています。家庭血圧の具体的な目標として75歳未満の成人では125/75mmHg未満、75歳以上では135/85mmHg未満などです。
高血圧の原因は主に2つあり、一つは全高血圧患者の90%以上を占める本態性高血圧です。本態性高血圧とは遺伝的要因、塩分のとり過ぎなどの食生活、喫煙・飲酒など嗜好品の摂取過多、運動不足、過剰なストレスなどによる環境要因が複雑に絡んで発症すると考えられています。一方、他の病気などが起因となって発症する高血圧が二次性高血圧です。腎機能低下、睡眠時無呼吸症候群などの疾患、あるいは薬剤による副作用などが原因とされています。
高血圧は他の生活習慣病と同様に自覚症状がないことが多いため、私たちが知らない間に血管に強い圧力がかかり続け、動脈硬化を招くようになります。その結果、高血圧は心筋梗塞や脳卒中、腎不全、閉塞性動脈硬化症といった発症リスクを高めます。この他に糖尿病、脂質異常症、肥満なども動脈硬化のリスクの素因と言われています。
高血圧の治療は、生活習慣の改善(食事療法、運動療法)を行います。食事療法では、減塩食や栄養バランスがとれた食生活に努め、運動療法ではウォーキングやサイクリングなど、適度な有酸素運動を継続して行います。
生活習慣の改善を行っても血圧に変化が見られない場合、併せて薬物療法を行います。患者様の症状により、薬の種類や服用時期は異なります。